運がいいのか悪いのか|父ちゃん編

親族の最期のセレモニーというものは避けては通れないが、そう度々あるものではないので、それなりに普段とは違った日常がしばらく続く。
弟の時ほどざわざわと落ち着かないといった状況ではないものの、特に公的な手続きなどは年度初めとゴールデンウィーク前ということもあってか思うように捗らない。
結局は数年前からのしわ寄せを解決していくどころか、細かいプリーツみたいにきっちり畳み込まれて増えていくばかりだ。
焦るなと言い聞かせてはみても、仕事以外の雑用に自分の時間は忙殺されてしまう。

溜まった疲れのマグマがちょっと弾けてしまったのか


昨日(4/30)は散々な日だった。それは主人が犬の散歩中に携帯を落としてしまった事に始まった。
主人は几帳面なので、私が知る限りこれまで一度も携帯電話を失くしたり忘れたりしたことはまずなかったし、私の携帯の管理までもするような人である。
なのに昨日は、失くしてから気がつくまで数時間経ってしまった位、気持ちが何かに捕らわれていた。私ばかりか主人までもである。

もちろん私の携帯から電話をしてみたが、電源は入っていなかった。通った道を何度もおさらいするように辿ってはみたがとうとう見つからなかった。
ポケットに入れられた携帯の重量の感覚に敏感な主人なのだが、お茶摘みの助っ人が始まったのと、元気になりだしたラブの仔犬のあんと子育てが終わったぱんのハイテンションが重なったのもあり、疲れが溜まっていて少しばかりぼんやりしてしまったのかも知れない。

あん
はまだワクチンが打てないため、お散歩デビューはまだまだ先だから仕方ないのだが、室内での暴れっぷりは日に日に加速。なので私は猫と一緒に事務所に避難中で、犬3頭は専ら主人がお相手している。
「私が電話したからかな?」
と、その落ち込みように気を使って言ってみると
「そうだ、お前が電話なんかするから落としたんだ!」
などと、らしからぬことを言う。
もう半ば諦めながら警察には届けることにした。
「○時○分ごろ△△あたりに落としました」
と細かく言えるのは、前述した会話通り失くした直前の私の発信履歴があるから。対応してくれた警察官も携帯の紛失届けには手慣れている様子だった。

良からぬことは続くもの?

すっきりしない気分のまま店の営業を終えて2Fに上がり部屋中を探した後、私はまた事務所で別仕事をはじめたが、いつもなら猫親子が事務椅子に陣取るはずなのに息子の方だけ見当たらない。
でも暖かくなってきたし、夜行性だし、そんな日もあるだろうと思いながらいつの間にか眠っていて、気づけば明るくなっていた。

オー見なかった?」
と部屋から事務所に移動しながら尋ねる主人。オーとはもちろんリバの息子のオーしゃんのことだ。奴はとうとう朝になっても姿を見せなかった。
今日も朝からお茶摘みがあるので、キョロキョロ探しながら支度をしている。私の携帯を持っていくため、オーに何かあったとしても私からの連絡が取りづらくなる。
「去年、あなたが入院中にオーがリバースしたことあったでしょ?その時に1日隠れてお腹を干していたことがあったのね、猫って1週間くらい食べなくてもいられるから、お腹でも壊して何処かで安静にしてるのかも」
と、やや気休めに近い言葉で送り出した。

昨夜は暗くなってから懐中電灯で近所を探し回ってみたり、オーが我が物顔でお邪魔するご近所の奥さんにLINEで聞いてみたりと手をつくしていたが、手がかりはなかった。
しかし、何故か夜が明けると不思議と昨日のモヤモヤは少し収まっていた。根拠はなかったが必ず生きて帰ってくる気がしていた。

けれども動いている姿を見るまでは不安なので、近所に構わず大声で名前を呼んでは探し続けた。
もう携帯紛失どころではなかったが、携帯がないと主人は教室の生徒との連絡も一手間増える。すっかり携帯依存が染み付いている事を認めざるを得ない。

フォン帰る!

それでも犬夫婦の散歩はいつも通りに済ませ帰宅した時、ちょうど警察から店に電話があった。
届けられた携帯と、紛失届の携帯と特徴が似ているという事だが、決めてとなったのは8頭の仔犬だった。
「待ち受け画面はなんですか?」
「あ、仔犬8匹の写真です」
「あー間違いないですね!」
と嬉しいことに意外にもあっさりと見つかった。届けてくれた方は、なにもご自身の情報を残していかなかったので、この場を借りてお礼を言うことにしよう。
ご親切な方、ありがとうございました!!

すかさず警察まで取りに行ったわけだが、奇跡的に本体は無傷で、代わりに守ってくれたケースは傷だらけだった。
そんな帰ってきた携帯を見ると、益々オーも必ず戻る気がしてきた。

オー帰る!

オーの事はひたすら待つしかなかった。
昨日と同じように店を終えて裏の階段を昇る前に、ふとオーリバが昼寝に愛用している3段の小棚の最下段に目をやった。暗がりで分かりづらかったが、ふわっとした塊が見えた気がしたので目を凝らすと、そこにはオーが丸くなっていた。
「いたーー!オーちゃんがいたよ!!」
夜更けではあったが、思わず叫んで主人を呼んでしまった。

しっかりとした様子だったが元気の無さが伝わってきたので、怪我をしていることは直感的にわかった。
どうやらまともに歩けない様子なので、そっと抱き上げ、事務所に連れて行った。

首筋を舐め続けていたリバ。母の愛が満ち溢れていた。

テーブルの上に仮設ベッドを据えて毛づくろいをしてあげながら、傷など探す。
どちらか、あるいは両方の足が思うように使えない様子だが、はっきりとわからない。
左太ももの外側に外傷が見られたが、もうかさぶたになりかけているから、自分でひたすら舐めていたに違いない。
昨夜は雨が時折降っていたのだが、濡れた様子もないので、おそらく一晩縁の下かどこかで身を潜めていたのだろう。

とにかく猫は寝て治すらしい。その間、外敵に見つからないよう、身を潜める。
4年前に21歳で亡くなった黒猫Yamatoも、若い頃に野良猫と対決して深い傷を負った時は、1週間近く姿を隠してしまって、もうだめかと思った頃に天井裏に身を隠しているところを見つけた。
あの時も、電波のようなものを感じて、天井裏を覗き込んだら、光る眼を見つけたんだ。
非科学的だけれど、言葉以上の何かを発することができるのではと、信じずにはいられない。

オーが生まれた時のケージに入れ休ませる。安心したのか、深く眠っていた様子だった。

ドライフードを鼻先に置いても見向きもしない。

おや?お目覚めですか?

かぁちゃんが看病してたの知ってる??

お腹すいたって?いっぱい食べて早く元気になっておくれ。
座れないので横になったまま食べるのは許すよ。
看病疲れのかぁちゃんは、患者にもたれて寝てしまう。おやおや。

さぁ、明日、病院に行こうね。
それにしても内藤家の四足エンジェル係数の高いことったら・・・ 続きの記事はこちら>>

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