毎日面会の飼い主馬鹿

「逆に怪我がなかったら心臓のこと、気が付かなかったかもよ」
というのには、その先がある。
前にも書いたと思うが、私たちは雄の場合も「去勢」をする方針でいるので、オーも「お嫁さん募集」が済んだら去勢手術をする予定だった。
しかし今回の件で、あらゆるの手術が難しということを知ることとなった。
オーの心臓のことに気づいていないで「去勢手術」をしていたら、もしかしたら亡くなっていたのかもしれないのだ。
そもそも「お嫁さん募集」も諦めないのなら、生まれてくる猫たちについても心構えや対策が必要となってくる。
そういうことから「この子、運がいいのかも」と思ったし、飛躍的だが怪我によって教えたかったのかとまで思った。

初面会5月3日


翌日3日は世間様の黄金週間も佳境に入っているせいか、病院は昨日ほど混雑していなかった。
扉を開けるやいなや
オーちゃんのご面会ですね」
と言われた。面会には事前予約がいらないが、受付には申し出る必要がある。
これってちょっとした顔パス?みたいじゃない?
いやいや、ラブのパピーのワクチン摂取あたりから、先生だけでなくスタッフの隅々まで主人の顔が知れ渡っていたからだろう。

私のほうがこの動物病院の通院歴が長いのにね。
因みにペット名の前に私達の名字がつくのだが、黒猫Yamatoまでは私の旧姓が付けられていて、カルテは旧姓時代から引き継がれている。

数分程度で2つある診察室に挟まれた中央の扉が開いて、中に入るよう促され処置室の奥に通された。
ペット用の点滴機から点滴されているオーの姿があった。
スッタックされたステンレス製のケージに入っていたが、牢名主みたいに面会者には触りやすい特等席にいた。

主人に気がつくと満面の笑み(猫は笑うのかどうかは知らないけれど)を見せ、珍しく大声で鳴いた。
緑の包帯で点滴の針が固定されていた。病院スタッフからは「とっても大人しくていい子でした」と言われたのもお世辞ではないようで、なんだか落ち着き払っている。
まだ生後10ヶ月だというのに大物の風情があるではないか!(飼い主バカ)

朝から会いに行くのを心待ちにしていた主人は、ケージにかぶりついたまま離れようとしない。
また涙目なのかな??私は殆ど出る幕がなかった。

隣には交通事故にあって保護されたという野良猫が入院していた。
片目が縫われてしまって顎もしっかり動かないようだし、毛艶の精気が弱くとても痛々しい。
保護した人はなんて殊勝な方だ。
オーは主人に独占されているので、その子に話しかけてみたりすると微かに反応してくれた。

「すいません、ちょっと奥に行きたいので…いいですか?」
と病院のスタッフさん。
あらら、お仕事の邪魔してしまったようだ。父ちゃん、明日もまた来ようね。(邪魔しに?)

5月4日はいつの間にかみどりの日に


入院3日目のオー、今日も貫禄たっぷりであった。

父ちゃん来るの遅いよ!

そう言うなよ、今日はお土産あるからさ!

昨日帰る時に「おやつの差入れ」の許可を頂いたので、オーが大好きな通称「チュルチュル」を持参し面会。

鳴き食いするくらい喜んで食べているから、また主人はケージにかぶりついちゃうわけで、今日もスタッフさんの邪魔にならないかと背後でハラハラ。

とうとう正座してしまった。足は大丈夫なのか?
我が家では猫にも「お座り」を教えるので、正座すればおかわりにありつけると思っている。

ごちそうさまでした!また満面の笑み!?

その間中、やっぱり私は隣の野良猫に話しかけていた。今日は眠いようで横になっていたが返事は返ってくる。
昨日よりは毛艶が良くなっている気がした。

5月5日こどもの日


巷は八十八夜も済んでお茶業界は最盛期。主人は連日の茶畑仕事で少し日焼けしてきた。
オーしゃん初のこどもの日が病院で過ごすことになってしまったね。
今日はピンクの包帯かわいいね。グレーとピンクは色の相性がいいんだよ。

遅いってば!待ちくたびれたぜ!

早くおやつちょうだい!
わかってるよぅ、今日は少し怖いよ、君。チーズのおやつも持ってきたから落ち着いてよね。

ちょっと退屈してきた。いつ帰んの??
気持ちはわかる、わかるよ。でもあーたは心臓が悪いんだから…そうは見えないんだけどね…

そんなオーとお隣の事故にあったノラちゃんを見比べていると
オーは本当に車に轢かれたのかな?」
と思った。乗用車レベルに轢かれたなら、このノラに近いダメージがあるはずだ。
もしかしたら、オートバイや自転車あたりか、或いはもっと違う原因だったのかも。
動物が言葉を話せたら良いのにとまた思う。

「心臓のポンプの機能にはあまり問題がないようですが…」
と大先生が話しかけてきた。
オーの経過を話されながら、記事の前置きにもあるように「去勢」で亡くなってしまった事例を教えてくれた。
「それって避妊ではなく去勢手術ですか?男の子って事ですよね?」
「そうです、特別にどこか悪い様子もなかった子のようです」

手術は諦めなくてはいけない方向が濃厚になってきた。
その話を聞くまでは、主人はオーなら大丈夫と思っていたからがっかりした表情だった。
うちに帰って夫婦で少し考え込んでしまった。
怪我をさせてしまった事も、オーの運命もひっくるめ、この事実を受け入れてその先どうやって守ってあげられるのか?

そうして見ると、人間は愚かしい。動物は人間のように贅沢な選択肢がたくさん無い分、現実を早くに受け止めるし遥かに前向きになれるようだ。 つづく
前の記事

この記事が気に入ったらページに いいね ! をお願いします!

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

お気軽にコメントして下さい